Sakura Business News
2025年2月号
- コラム
- 令和5年4月施行「相続土地国庫帰属制度」とは?

令和5年4月より「相続土地国庫帰属制度」が新たに施行されました。制度の内容についてご紹介します。 相続土地国庫帰属制度は、相続や遺贈によって、宅地や山林、農地などの土地を取得した人が、一定の負担金を納付することを条件に、土地の所有権を国庫に帰属させることができる制度です。簡潔に言えば、土地を国に引き渡せるという内容です。この背景には土地利用ニーズの低下などにより、相続した土地を手放したいと考える人が増加していることが挙げられます。土地を望まずに相続した所有者は、負担感の大きさから管理を怠ることが多く、荒廃したり危険な状態となったりする相続土地が少なくありません。この制度により、管理困難な土地を国に引き取ってもらえることで、所有者不明となる土地が、ある程度減ることも期待されています。相続土地国庫帰属制度を申請できるのは、相続または遺贈(遺言による贈与)により、土地または土地の共有持分を取得した相続人に限ります。(制度の開始前に土地を相続した方も申請の対象になります。)また、国庫への帰属が認められる相続土地にも要件があります。建物や工作物のある土地、境界がわからない土地など、処分や管理に多大な労力や費用が必要となる場合は対象外となりますので申請には注意が必要です。申請時に審査手数料を支払い、申請が通れば負担金を支払うことで国庫に帰属されます。審査には標準で8カ月、それよりかかることもありますので利用する際には念頭に入れておきましょう。