Sakura Business News
2024年12月号
- コラム
- 不動産登記の義務化について
令和6年4月1日より相続登記の義務化に関する法律が施行されました。義務化となった背景と概要についてご紹介します。 相続登記がされないこと等により、不動産登記簿により所有者が直ちに判明しない土地、所有者が判明しても、その所在が不明で連絡が付かない土地を「 所有者不明土地」といいます。所有者不明土地は、土地所有者の探索に多大な時間と費用が必要となり、公共事業や復旧・復興事業が円滑に進まず、民間取引や土地の利活用の阻害要因となったり、土地が管理されず放置され、隣接する土地への悪影響が発生したりするなど、様々な問題が生じています。所有者不明土地の発生原因の約3分の2が相続登記の未了といわれています。これまで、相続が発生しても相続登記がされない原因として、相続登記の申請が任意であり、その申請をしなくても相続人が不利益を被ることが少なかったこと、相続した土地の価値が乏しく、売却も困難であるような場合には、費用や手間を掛けてまで登記の申請をする意欲がわきにくいことにあると指摘されていました。このような背景から、令和6年4月1日より、相続登記の申請が義務化されました。これにより、相続人は、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請が必要となりました。また、遺産分割(相続人間の話合い)で不動産を取得した場合も、別途、遺産分割が成立した日から3年以内に、遺産分割の内容に応じた登記の申請が必要となりました。しかし、相続登記は手続きが煩雑になることもあり、期限内の申請が難しいこともあります。そのような場合に簡易に相続登記の申請義務を履行することができるようにする仕組みとして、「相続人申告登記」が 新たに設けられています。